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【ある女性経営者のグローバル視点】プレゼンテーション

【ある女性経営者のグローバル視点】プレゼンテーション

こんにちは!

これからしばしの間、当コラムを担当させていただく竹内明日香と申します。
11年ほど旧日本興業銀行(現みずほFG)で海外営業や審査などを経験し、その後独立して現在の会社、アルバ・パートナーズで日本と海外をつなぐお仕事をしております。独立して数年は、海外の投資家が日本企業に投資する際のサポートをして来ましたが、日本人社長さんたちとミーティングを重ね、プレゼンを聞いているうちに、同じ日本人として、「このまま外国人の側にのみ立って仕事をしていて良いのか」「もっと日本側をサポートすべきなのではないのか」という問題意識がむくむくと湧き上がり、日本企業の情報発信のサポートを始めたのが2009年のこと。それ以来、日本企業側に立ってプレゼンや交渉のサポートを手がけてまいりました。
この号が世に出る頃は、現在妊娠中の第三子が産まれていることと思いますが、三児の母としての視点も重ねつつ、日本の企業、そして日本人が、海外の人々と渡り合って行く上での視座をなにかしらご提供できたら良いなと思っております。

とあるミーティング風景。来日した米国人の日本側統括と日本企業の社長が初めて会った時のこと:
Hi, I’m John!

と手を差し伸べる米国人に、日本人の社長も右手を差し伸べたは良いが、左手ではプレゼン資料を一生懸命繰っている。そして、いきなり名前も名乗らずに「当社の資本金額は」などと会社の概要を話し始めてしまい……。
「いやいやありえないでしょ」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、実は似たりよったり、何度か遭遇した光景なのです。
この日本人社長のプレゼン資料は、あいにく弊社ではなく社内で作成されたのですが、かなり入念な準備をされていたようで、分厚い資料の中には、会社の製品の写真にも紙幅を割くなど、企画部門と営業が一緒になって素材をかき集めて作成した様子が窺えました。しかしながら、このミーティングは30分ほどで終わってしまい、肝要だった提携話にも発展せず、二回目のミーティングすら実現しませんでした。
米国側の出席者に反応を聞くと「資料読むだけなら、帰って読むよ」「質問したことに対する的確な返事が返ってこないと今後、関係構築にあたっても心配だ」とのこと。まぁそちらの言い分もよく分かります。
私たち日本人は、話す側でも聞く側でも、どうしても手元の資料に依拠して面談を進めたいものなのですよね。
例えば相手方のプレゼンを聞く立場の場合、順に目で追ってきたはずの文脈からちょっとそれて、外国人がジョークを飛ばしたりすると、「あれれ?それってどこに書いてあるんだ?」と手元の資料を探して目が泳いだり、ページをめくったり。そんな経験はないでしょうか?

逆にプレゼンをする側の時も、自分が必死に最初のページから始めようと思っているのに、相手がどんどん関係のないページをめくるため、「そんなところまでまだ話進んでないよ」と動揺した、あるいは原稿を読んでいる最中に遮られ、質問されて閉口してしまったとか、手元の想定問答集を必死に探した、なんて経験もないでしょうか。
「はじめまして」という初回の顔合わせから、ミーティングも回を追うごとに「交渉」の段階に入っていきますが、困ったことにこうした一見些細な違いに見えるギャップがずっと尾を引くことが多いのです。加えて日本語は言語自体のトーンが優しく、また日本人は謙譲の精神で話すことも多く、さらに通訳さんって真面目な方が多くて、その方々が優しい表現をそのまま訳されたりするので、日本人はますます勝負に向かない状況に陥るのですよね(これらについてはまた回を改めてお話ししてみたいと思います)。
なぜこんなにも違うんだろう、とつらつら考えていたある日、息子の小学校の学校公開(昔でいう授業参観)に出て、思いを強くしました。そう!日本と外国とでは、受けている教育が根源的に違うのですね。
日本の教育は、先生が黒板に板書をし、それを写すことから始まります。質問は先生のお話が終わってから、質問タイムで。それも静かに手を挙げて、先生から指された人だけが立って発言をする。仮にその意見に反論があったとしても求められない限り「私的」な発言は禁止されます。
まさにこれが黙って順序通りに相手の話を聞く、日本式プレゼンのルーツ。


竹内 明日香(たけうち・あすか)

日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)にて国際営業や審査等に従事後、2007年に独立し、海外向けに日系企業の情報提供を開始。2009年にアルバ・パートナーズを設立し、国内企業の海外事業支援と情報発信支援(プレゼンサポート等)を提供。東京大学法学部卒業。日本証券アナリスト協会検定会員

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