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実践サバイバル投資術「極意7 アベノミクスバブルの賞味期限 30年ぶりの日本発バブルを乗りこなす!」

日本発バブル始動!
「やっぱり30年だったか」

 2012年末から日本発のバブルが動き始めたようだ。「アベノミクスバブル」である。この連載で繰り返し説明してきたように、バブルの波は7年から10年程度の景気循環と概ね一致することが知られている。そして2、3回に1回、つまり20年から30年に一度は不動産価格の急騰を伴う巨大な経済バブルになる。
 景気は循環し、歴史は繰り返す。1985年9月のプラザ合意後の急速な円高に伴う景気後退を避けるために金融緩和と財政出動を行った結果、株と不動産の過剰流動性バブルを引き起こしてから既に27年経ている。
 昨年半ばまでは日本発の巨大バブルなど想像もできない状況だった。民主党政権が産業軽視・福祉重視のばら撒きに走り、東日本大震災・福島原発事故・タイ洪水といった不運に加えて、通貨安戦争に敗れた結果の超円高で経済運営に失敗した。その弱った日本に竹島問題では政権末期の李明博が付け込み、中国も内政問題から目をそらすために尖閣奪取に動いた。その結果、穴馬だった安倍さんが首相に返り咲き、大胆なリフレ政策を実施することになった。歴史に「もし」はないが、民主の最初の二人の首相がもう少し現実的で、大地震が発生しなかったら、アベノミクスバブルはなかっただろう。
 ここ20年の日本は、他国発の巨大バブルにお付き合いするだけだった。それが自国発のバブルが動き始めたとすれば、影響の程度が格段に大きくなるので注意を要する。投資パフォーマンスの大部分は、「バブルでどうやって儲けるか」ではなく、「バブル崩壊の影響をいかに最小限に止めるか」にかかっている。ちまちまFXで稼いだり、一つや二つ急騰銘柄を当てたりしたところで、バブル崩壊の荒波に飲み込まれればいっぺんに吹き飛んでしまう。さらに言えば、世界の株式、コモディティ、不動産の相関が高まっているので、前回のリーマンショックで明らかになったように崩壊時の分散効果はまず期待できない。また、日本の公的債務の対GDP比残高はギリシャよりも悪く、次の巨大バブル崩壊時には、株価急落に加えて手が付けられない円暴落となることもありうる。

アベノミクスバブルはいつまで?
3つの増税

 2012年末を底に7年~10年の循環が始まったと考えるなら、次の天井は「2015年後半から2017年あたり」と推測される。相場はコップに水を貯めていくようなもので、何らかのきっかけで一気にこぼれて相場の崩壊が始まる。それらの要因は様々で戦争、天災、金融引き締め、増税などがあるが、当然ながら天災などの時期は予測できない。ところが、アベノミクスには売り物の「3つの矢」だけでなく、「3つの増税」が待ち構えている。2014年4月と2015年10月の消費税増税と、2015年1月からの相続税の実質増税である。そして、これらがちょうど「コップに十分に水が貯まる」相場の天井と重なるため、景気を冷え込ませるきっかけになる可能性が高い。
 まず消費税増税は駆け込み需要の効果があるため、その反動による景気の落ち込みも相まってボディーブローのように景気を蝕む。過去の経験では数ヶ月から半年程度先に株価が下げ始め、その後で「なんか景気が悪い」と実感されるようになる。それもそのはず、消費税は知らない間に財布からお金を吸い取るのだ。今回の相続税実質増税はさらに影響が分かりにくいところにある。相続した土地を売却しなければならない方が増えることで、不動産の需給が悪化し、地価下落を通じて景気に悪影響を与えるのだ。実は、不動産価格の上昇を伴うバブルを潰すにはこちらの方が消費税よりも影響が大きい。
 そうなると、それぞれの半年程度先である2014年秋、2015年夏、2016年春が要注意となる。このうち、最初の消費税は公共投資と次の駆け込み需要で何とか越えられるかもしれない。しかし「2015年1月の相続税上げの半年後の2015年夏」は不動産価格に直接響くので「トドメの一撃」となる可能性が高い。それも運よく乗り切るほど経済が過熱していれば、ダメ押しとなる「消費税追加増税後の2016年春」には、相当危険な状況になっているはずだ。日経平均の水準で言えば、早めに天井を付けるなら15千円程度、2016年まで継続するようなら2万円程度まで上昇している可能性もある(図1)。


バブルで儲け、暴落から身を守る 勝ち抜け!サバイバル投資術バブルで儲け、暴落から身を守る 勝ち抜け!サバイバル投資術
証券業界で生き抜いてきた著者だから書ける「投資の嘘・ホント」。一般論的な警告ではなく、具体的にこれからどのようなことが起こり、どう対処すればいいのかまで踏み込んでいる。投資上級者も入門者も必読の1冊。
実業之日本社
ISBN978-4-408-10911-4
1500円(税別)

土居雅紹(どい まさつぐ)土居雅紹(どい まさつぐ)
eワラント証券株式会社COO。CFA協会認定証券アナリスト、証券アナリスト協会検定会員。1964年静岡県生。88年一橋大学卒業後、大和証券入社。証券アナリストとして活躍。93年米国ノースカロライナ大学経営学大学院にてMBA取得。大蔵省財政金融研究所などを経て、ゴールドマン・サックス証券へ。00年同社でeワラントを開発・導入。11年8月より現職。時代に合った投資方法を研究、その分析力には定評がある。

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