ホーム / Business / 経済 / 其の五 O2Oの展望と課題を考える

其の五 O2Oの展望と課題を考える

■其の五 O2Oの展望と課題を考える

 今後はO2Oという曖昧なバスケットに何もかも詰め込んだ現状から、複数の成功パターン、メソッドに分化していくだろう。O2Oマーケティングの成否を判定するには、効果を第三者的に立証する仕組みづくりが不可欠となる。
 現状の技術環境では、成否の因果関係がはっきりとはわからない。購入につながった要因が、サイト上のバナーであるのか、ソーシャル上の誰かの紹介なのか、店の軒先においてある看板なのか、もしくはその複合要因なのか、完全に把握しているとは言い難い。O2Oはマーケティングの一側面でもある以上、費用対効果の精度が求められるのは自明だ。IT会社やクラウドサービス提供企業、大手広告代理店、広告効果測定会社など、あらゆる企業がこの分野でしのぎを削っている。
O2Oの次なる飛躍は、目的地への単なる移動手段であった自動車そのものをO2Oサービスに活用できるか否かであろう。現状は、スマートフォンと自動車のシステムは、シームレスにつながっておらず、自動車内部の情報は閉じたままだ。ただ、これからの自動車は常時ネットワークに接続されている前提であり、かつ、安全運転に配慮した上で自動車内部のセンサーネットワークやコントローラにもアクセス可能な時代が目前である。自動車自身が「オンライン」となり、「オフライン」へ導くツールにもなり得る。
 車内情報は心の機微につながるものも持ち合わせている。例えば、タイヤ圧が弱いとセンサーが判断すれば、自動車自身が空気圧の調整をアピールし、整備可能なガソリンスタンドへ導くことが可能であるし、椅子の圧力センサーから家族人数・構成を割り出し、現在地に近い好みのレストランを割り出してくれるかもしれない。O2Oは、情報を受信者・消費者の判断に基づく能動的な行動があって初めて機能するが、やがてスマートフォンや自動 車に搭 載されているコンピュータ同士のオートネゴシエーションに取って代わられる日が来そうだ。
 昨年末、東京・丸の内で、東京駅に巨大な3D映像を投影するプロジェクション・マッピングの映像ショーが開催された。6日間にわたり開催予定であったが、数万人の観客が殺到し、混乱を避けるため初日で中止となってしまった。事前にテレビで紹介されていたため注目度が高まっていたのも一因ではあるが、ソーシャル上で飛び交っていたプロジェクション・マッピングの話題や動画に触発され、思わず足を運んでしまう人も多かったのだろう。そして丸の内での初日開催の時にも、スマートフォンを手に撮影し、ソーシャル上にアップする人が多く見られた。
 練られたO2O戦略は好循環を生み出す。ネットコミュニティを最大限に利用しつつ、現実も制すという、2つの世界で「永久循環」を狙うしたたかさは、当面止まりそうにない。


Scroll To Top