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【特集】House&Energy 家と街と地球を変える再生可能エネルギーと新エネルギー 

石油、石炭、原子力に変わるエネルギーを模索する動きが世界で高まっている。技術先進国でありながら導入と普及が遅れる日本においても、ようやく実用化に向けての動きが注目を浴び始めた。「再生可能エネルギー」「新エネルギー」はいずれもCO2排出を削減させ、地球温暖化防止に貢献するエネルギーだ。これらのエネルギーを巡る世界と日本の動き、そして家づくり、街づくりに生かされようとしている実態を紹介する。
そして議論が高まる「脱原発」は可能なのか、震災復興に関わる有識者の意見を聞く。

*地熱発電はバイナリー方式に限定 *中小規模水力発電は1000kW以下 *廃棄物発電・熱利用・燃料製造については省エネルギーの手法

*地熱発電はバイナリー方式に限定
*中小規模水力発電は1000kW以下
*廃棄物発電・熱利用・燃料製造については省エネルギーの手法
(資源エネルギー庁発行パンフレットなどから作成)

発電のしくみ 風力発電

ブレード(羽)が風を受けて回転し、その回転運動を倍速機で一定の回転数に上げて発電機を動かし発電する。風が強すぎる時は壊れないように可変ピッチが働き、回転しないようにする。変換効率が40%と高く、発電コストも比較的低い

太陽光発電

太陽電池のN型半導体とP型半導体の間に(+)と(-)の電位差があり、太陽電池に光が当たると、P型半導体(-)電子がN型半導体(+)のほうに移動する。不安定になったN型半導体の自由電子(-)が導線を伝ってP型半導体に移動し、電流が流れる。メンテナンスがほぼ不要で、小規模でも設置可能

世界共通「再生可能エネルギー」 
日本が促進を図る「新エネルギー」

 再生可能エネルギーとは国際的な共通言語であり、自然環境の中で繰り返し起こる現象から取り出すことができ、利用しても再生可能であり、枯渇することのないエネルギー資源を指す。
 新エネルギーとは日本独自の名称だ。日本国内で、技術レベルで実用化段階に入ったが、経済性や普及レベルが十分でなく、政策的に支援すべきと日本が認識する石油代替エネルギーの総称である。
 エネルギーを定義する立場である資源エネルギー庁によると、枯渇する心配のない再生可能エネルギーのうち、以下の条件を満たしたものを新エネルギーと定義している。(1)石油代替エネルギーを製造、発生、利用することなどのうち、(2)経済性の面での制約から普及が進展しておらず、かつ(3)石油代替エネルギーの促進に特に寄与する。そして新エネルギーを、政策的な支援を行って導入促進を図るべき対象であると位置づけている。つまり、もう少し政策的に支援すれば普及が期待できる石油代替エネルギーであるということだ。再生可能エネルギーには、すでに実用化されたものや、実験段階のものが含まれる。
 資源エネルギー庁は、新エネルギーとして供給側10分野、需要側3分野を特定している。供給側はさらに発電分野と熱利用分野に分けられる。右ページの図に供給側のエネルギーの分類を示した。需要側の新エネルギーとは、再生可能エネルギーの普及、効率の飛躍的向上、エネルギー源の多様化に資する新規技術で、その普及を図ることが求められているものを指す。具体的には、クリーンエネルギー自動車、燃料電池、天然ガスコージェネレーションなど革新的なエネルギー高度利用技術などが含まれる。そして現在、需要側と供給側をつなぐ技術として、省エネルギー建築、ヒートポンプ、スマートグリッド(次世代送電網)など多様な利用技術が研究されている。
 新エネルギー普及促進の一環として02年に公布された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)は、電気事業者(電力会社)に対し、毎年一定割合以上、新エネルギー等から発電された電力を利用することを義務付けた。太陽光、バイオマス、風力、地熱(熱水を著しく減少させないもの)、水力(1000kW以下)を対象としている。
 日本の電力会社10社合計の電力需要実績は10年、9,064億kWhだった。そして新エネルギー等の利用目標はその1.4%にあたる124.3億kWhに過ぎない。世界の09年における総発電量の18%が再生可能エネルギーであることと比較すると、日本の目標値は低い。脱原発を宣言した再生可能エネルギー先進国ドイツは、新規住宅の暖房に利用する電力の20%以上を、再生可能エネルギーから取得することを義務付けている。

地熱バイナリー発電

地熱によって生成された天然の水蒸気より蒸気タービンを回して発電機を駆動して電気を得る地熱発電の一つ。地下の温度や圧力が低い場合でも低沸点の液体媒体を使い蒸気を発生させる。水と低沸点の2つの液体を使用することから「バイナリー(2つ)」と言われる

日本の取り組みが遅れている

 世界における再生可能エネルギー発電容量への投資総額は09年に約1,500億ドルに上った。地域で見ると、アジア・オセアニアの投資額が344億ドルと多額で、南北アメリカを抜いた。国別に見ると、中国が約250億ドル以上の新規投資を行い、ドイツと肩を並べる勢いである。中国の投資対象はほぼ風力であり、09年の風力への投資額で世界第1位となった。日本は、太陽光発電の新設でこそ第3位に入ったものの、新規設備への投資では圏外と、再生可能エネルギーに対する立ち遅れは否めない。
 東日本大震災後、特に発電をキーワードとしたエネルギーに関する議論が活発化している。CO2削減、温暖化問題と相まって、再生可能エネルギーへの積極的な取り組みを先延ばしにしている余裕はない。
 6月28日現在国会審議中である固定価格買取制度(FIT)は、09年に太陽光発電の余剰分に対して導入され、その普及に一定の成果を見た制度だ。現在審議中のFITでは、他の再生可能エネルギー、新エネルギーである風力や地熱なども対象とし、電力会社が全発電量を買い取るとしている。電力会社はそのコストを電気料金に反映させる。現状では従来の発電と比べコストが高いため、一般消費者や企業の負担が増えるとして、経済界などが強く反発している。
 しかし中国やドイツ、ブラジルなど海外で再生可能エネルギーの導入を加速させているのはRPS法やFITといった法的施策であることも事実だ。実際、FIT成立を見越してか、風力発電所の買収が行われたり、東芝が韓国メーカーと提携して風力発電に参入したりしている。
 気候や地形の関係で、日本は大規模な水力発電、風力発電、太陽熱発電において不利な立場にある。そのため技術力と発電場所に関して近隣諸国との連携を強めることも今後不可欠だろう。しかし地産地消の精神で太陽光発電や地熱発電の普及を推し進めることも必要だ。
 日本はいち早く太陽電池の開発を行い、太陽光発電産業において世界トップクラスの生産量を誇る。しかし高い技術を持ちながらコスト高から自国への導入に踏み切れなかった。日本政府は10年を新エネルギー導入拡大の離陸期とし、20年から30年までを普及拡大期として加速的普及を狙う。加速のための起爆剤が必要かもしれない。
 次ページでは、民間企業の取り組みの一例として、エネルギー利用を効率化するスマートハウスを紹介する。


文|羽田祥子(編集部) 川口奈津子(編集部)

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