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いわて環境と人にやさしい次世代モビリティ開発拠点

東日本大震災の復興へ向け東北の各県では、産官学でこれまでにない思い切った様々な取り組みが行われている。
岩手県では、「いわて環境と人にやさしい次世代モビリティ開発拠点」としてモビリティのイノベーションを推し進める国の地域イノベーション戦略と文部科学省からの支援を受け、オール岩手で自動車組み立て工場のある地域から、次世代モビリティを生み出す地域へ、ニーズや課題を元に高い付加価値を生み出す地域を目指している。
今回は、岩手県の次世代モビリティへの取り組みをご紹介。このプロジェクトを担当している財団法人いわて産業振興センターのプロジェクトディレクターの久郷和美氏に話を聞いた。

岩手県と自動車産業との関係

岩手県と自動車産業の関わりは、ティア3・4で構成部品を作っていたのが始まりです。トヨタが国内で600 万台作ろうというビジョンを持っていた時、関東自動車が岩手に新しく工場をつくる計画が立ち上がり、工場用地の取得や流通コストの削減、人材確保、地元企業の協力などを経て現在に至っている。

なぜ岩手県だったのか?

関東自動車が新工場設置に動き出した当時は、バブル真っただ中で雇用環境が悪くなっていた。組立工程は労働集約型産業で、完全に人に頼ります。その当時は、自動車の組み立ては3K 職場であり、労働力の確保が困難な状況だった。当然、首都圏、近畿、東海地域では労働力の確保がなかなかできない。一方で、岩手県では地元へのU ターン人材が増加しはじめていた。土地の取得についても、最低20 万〜30 万平米が必要で、当時はIT 関連が流行していて5 万平米程度の土地が多く、用地確保が難航した。さらに、自動車メーカーから求められたのは、優秀人材の確保と地域経済の活性化の2点だった。当時、関東自動車には深浦工場があり、7万平米しかなかったが、非常に品質が良く、生産性など含めても非常に評価が高い工場だった。
しかし、テストコースやプレス設備が乏しく、再編成の俎上に乗ってしまう危機感があった。これを打開するため岩手進出に動きだした。当初の予定より、大規模の用地取得を行った。ただ、部品の流通コストの負担が大きく、トラックではなくJR 貨物の利用を促進した。それでも、負担が大きいので新工場内に部品メーカーに入ってもらい、さらに地元企業の協力を得て現地調達を増やす策を考えた。

 

「いわて環境と人にやさしい次世代モビリティ開発拠点」形成プロジェクト プロジェクトディレクター 久郷和美氏

地元からの部品調達を促進

最初は10 万台の生産能力でスタートして、15 万台、そして今は30 万台の生産が可能になった。昨年はついに、40 万台生産した。新しい車種の投入やモデルチェンジのタイミングで生産能力を増強してきた。生産台数が増えて、現地調達が当初18% 程度だったが、今では42 ~ 43%程度にまで到達しています。これを何とか80% まで挙げたいが、なかなか進みません。
地元企業が自動車産業への参入に躊躇していたからだ。当時、岩手県は大手電気機器メーカーが工場を持っていた。転機は2000 年頃で、15 万台の生産能力を持ち始めた時だった。
そういった状況の中で、岩手県内で様々な動きが出始めた。2000 年頃にはテスネットという岩手銀行が中心となって勉強会を開催している。今年は、デンソー本社がある刈谷で東北6 県の企業がPR 展示会を開催するまでになった。

自動車産業への参入始まる

まず、岩手県内で3社が自動車産業への参入を果たしました。それはいずれもトップの決断ですべて決まりました。その後、何としても現地化したい部品があり、やっとのことで受注が獲得できました。その時、重要や役割を果たしたのが、コーディネーターの存在でした。当然、一番はトップが自動車に入って、生き残る、成長するという気持ちがないと無理です。それを行政がどのようにサポートするか、そこでコーディネイターが重要になってきます。

世代交代と生き残り

現在は、地元企業の考えが変わってきています。その理由は、オーナー経営者が代替わりし始めている点です。先代のオーナーは成功体験があるが、息子世代にはそれがありません。特にバブル以降、海外調達など縮小の方向にあります。これから仕事は減ることがあっても、増えることは無い。また、東北を第3の組立地区にするという宣言をトヨタがしたこともあり、「東北に行け」と言うメッセージとなりました。生き残りをかけて、ティア2・3 の拠点を作りたいと思っています。先行して拠点を作らないと縮小していかざるを得ません。

トヨタ自動車東日本と岩手県の自動車産業支援

県の自動車産業の施策も大きく変わって来ています。ここに来て、自動車産業が産業の軸になり得る認識を岩手県が持つようになりました。2008 年に最初の自動車関連産業成長戦略が策定され、2013 年1 月にトヨタ自動車東日本が出来たことをふまえて、アクションプランが策定されました。地場企業の参入支援や、大手サプライヤーの進出支援、デンソー、アイシン東北、トヨタ紡織、トヨタ合成、トヨタ鉄鋼は宮城など拠点の整備が完成した。また現地調達力が低いので、まだまだ現地の中小企業の伸びる余地があります。また、ティア1・2 がこちらを向き始めています。


BY 『LIGARE』(Jul.2013)

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