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発想と技術の中枢「ソニーシティ」 本社も環境性能「ぶっちぎり」!

技術と地域のコラボが生んだ環境ビル

―ソニーシティには製品開発で培われた技術が多く活用されているそうですね。

橋谷氏(以下H)いい製品を造るためには、器である建物・工場でのクオリティも高くなくてはならない、エネルギーの供給や内部の環境をどう作るかということが非常に重要である、ソニーはそう考えています。
私ども総務センターには、主管する専門機能子会社を含めて千数百人の社員がおり、そのうち300~400人はエンジニアです。空調のプロ、水質のプロ、電気のプロと色々な人間がいるんですよ。だから私たちは、工場を建設する際に建設会社やメーカーにそのまま任せることはしません。総務センター内のエンジニア達が建設会社やメーカーと、当社を実験台にしてでも一緒にチャレンジし、新しい設備・環境を作り上げるんです。今回のソニーシティ建設には、そのようにして工場で取り組んできたノウハウが活かされています。

地下の熱源機械室では、下水処理水の受け入れや空調に利用する冷温水の製造が行われている

下水処理水を冷暖房に利用

―具体的にはどのような技術が使われているのでしょうか。

H)このビルには、当社の半導体工場で導入してきた高効率熱源システムというものが使われています。半導体工場にはプラスマイナス1%、人間1人の入退室で変化するレベルでの温度調節能力が要求されます。そこで培われたセンサリング技術と空調技術を使ってビル全体の室内温度を調節しています。また、このビルでは東京都に協力いただき、ソニーシティに隣接する下水道局芝浦水再生センターの下水処理水を受け入れ、その熱を熱交換して、ビルの冷・暖房に利用しています。通常のビルでは、空調による熱はビルの屋上等に設置してあるクーリングタワー(冷却塔)で水を蒸散させて放熱しています。我々は、この仕組みによってクーリングタワー自体とそこに使われていたエネルギー、蒸散させる水も原則として削減することができました。従来そのまま川に流されていた処理水の有効活用にもなっています。

省エネ&スタイリッシュ

―ところでソニーシティはガラスのファサードでスタイリッシュな外観ですが、建築上でもこだわった部分はありますか?

H)はい。このビルでは外壁に2枚のガラスを使ったダブルスキンを採用しています。その間にブラインドを入れ、屋上に取り付けたセンサーによって方角や日射量に合わせて角度を変えることで、外からの熱の進入を防いでいます。このビルはダブルスキンの幅が広く、上下では3層ごとに区切られており、その中の空気が自然対流することで内部の暖まった空気を外部に放出しているんですよ。
また、このビルは外から見た時×印のような斜めのブレース(筋交い)が印象的ですが、これでビルの四隅の柱を繋ぎ、張り出し部分を支えることによって鉄骨量を大きく減らしています。建築工事の際にはビルの敷地内に生コンクリート工場を作り、掘った土の処理をできるだけ敷地内部でするなどの配慮をしました。正式にカウントはしていませんが、工事に使われたトラック等のガソリンとCO2排出量は相当削減されたと思います。

ソニーが運営する全国6カ所の大型ライブハウス「ZEPP」は、すべての電気をグリーン電力でまかなっている (写真はZEPP東京)

グループみんなでグリーン電力

―現在ソニーが特に力を入れている環境トピックは何でしょう。

H)一つにグリーン電力があります。その中でも我々が注目しているのがバイオマス発電です。秋田県能代では、森の育成のために木の間伐に予算が付いていますが、間伐材をどう処理するかには予算が付いていなかった。そこで我々は、間伐材の輸送費を県に支援し、発電所に運びグリーン電力化する仕組みを一緒に作りました。ソニーではこのようなバイオマス発電の促進に積極的に取り組んでいます。世の中に既に存在しているグリーン電力を取り合っていても意味はない。我々はグリーン電力そのものを増やし、活用していくことに携わっているという自負があります。

地下には全部で2500kW分の巨大なNAS電池がある。電力消費量の少ない夜間に蓄電し、昼間の電力に利用する

―グリーン電力はどのようなところで使われているのですか?

H)ソニー銀行はグリーン電力100%使用を開始し「CO2ゼロの銀行です」と謳っていますし、ソニー・ミュージックグループには、グリーン電力を使用したレコーディングスタジオなどもあります。一般のお客様は、ソニー製品を買うと貯まるソニーポイントで証書を購入することもできます。現在、 日本のグリーン電力の3割強をソニーが使用しているんです。グリーン電力は、当総務センターがまとめて調達し、ソニーグループの使いたい部門に提供しています。需要が増えると調達先も開拓しなければならないので大変ですが(笑)、我々は、グリーン電力を作りたい会社からのオファーを待つのではなく、自分たちでアイデアを出し日本全国をまわってグリーン電力を集めて来ています。

企業の責任として

―ソニー全体での継続的な環境への取り組みはどのようなものですか。

H)私どもは日本だけでなく世界中に工場をもっています。企業の責任として、自分たちが排出する水や空気は、できるだけ綺麗にしていこうと非常に気をつけています。もう一つは製品のリサイクル・リユース。以前は各事業別にリサイクル等を考えていましたが、今では事業の違いを超えた再利用を行っています。例えばミュージックの工場から出るCDの廃材を、エレクトロニクスのテレビやデジタルスチルカメラ、ソニー・コンピュータエンタテインメントのPSPなどのプラスチック部分に再利用しています。究極的にはソニーグループにとらわれなくていいと思いますが、まずはソニーグループの中でできる限りのリサイクル・リユースを心掛けています。

―ソニーグループの中にある多種多様な事業体が、業界を超え環境のために協力しあっている姿がとても印象的です。しかし、なぜそこまでやるのでしょう?

H)ソニーがモノづくりをしている会社だからこそ、ですね。すべての製品でとはいきませんが、キーになっている部分は自社でつくる、そのクオリティを自分たちで維持していくんだという意志があり、それを可能にする人材がいる、そこがベースにあります。過程にまで配慮しなければ、いいモノはできません。「環境にいいモノをつくって当たり前」。社員に根付いたそのような意識で、今後も〈ブラビア〉や本社ビルをはじめとする環境性能に優れたモノ、そしてサービスを生み出していきたいと思います。


撮影:t.SAKUMA 文:永野 幸(アクビ・インタラクティブ)

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