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クルマ社会の新たな可能性 カーシェアリングのある生活

カーシェアリングのある生活

“マイカー神話”の崩壊

 自動車を取り巻く環境の変化が著しい。日本自動車工業会の発表によれば2008年1―12月の生産台数は1156万3629台で、前年の1159万6327台に比べ0.3%の減少、7年ぶりのマイナスとなった。また、国内の08年新車販売数(軽自動車除く)も前年比6.5%減の321万2342台(日本自動車販売協会連合)と低迷。04年から5年連続減少という事態に陥っている。そして注目は2008年に自動車保有台数が史上初めて減少に転じたこと(自動車検査登録情報協会)。世界的な不況、環境問題といった自動車にまつわる諸問題を内包して、戦後脈々と続いてきた“マイカー神話”は崩壊の途を辿ろうとしている。
 そんな中、「クルマを持たずに、マイカーに乗ろう。」というスローガンを掲げ、あるサービスがスタートした。

カーシェアリング・ジャパン株式会社 鈴木大山(すずき・だいせん)さん

カーシェアリング・ジャパン株式会社 鈴木大山(すずき・だいせん)さん

共同利用で必要な時に乗る

 カーシェアリング・ジャパンがスタートしたサービスは「careco(カレコ)」。会員制のカーシェアリングサービスを運営する。カーシェアリングとは会員の間で自動車を共同で使用するサービスのこと。必要な時だけ利用して環境と経済性を意識するという、新しいライフスタイルを提案する。サービス開始にあたって、鈴木大山副社長はこう話す。 「1月7日に会員登録を開始したが思ったより順調。特に個人会員からの反響が大きく、今のところは週末の使用が多い。サービス開始前には不安もあったがまずは一安心だ」。

カレコのステーションには一目でそれとわかるロゴマークを配置

カレコのステーションには一目でそれとわかるロゴマークを配置

新たなアーバンライフブランド

 1月22日のサービス開始にあたって、その拠点として選ばれたのは恵比寿・代官山・中目黒エリア。まずは都内でも特に都心部での展開に集中し、自動車利用に関する新たなアーバンライフブランドとして提案する。
「以前は駐車場代を気にして川崎に住んでいた。しかし30代になって、車にほとんど乗っていないことにと気が付いた。そこでマイカーを売ってもう少し都心に引っ越したが、クルマを手放してみると実はどうってことはない。必要になったらレンタカーを借りればよかった。自分が経験してみて、実は、都心部に住む人にはこういう人が多いんだなと実感した。クルマがあれば使うが、駐車場に4万円も5万円も払うのはあり得ない。じゃあそういう人たちに月1~2万円で自由に乗りたいクルマに乗れますよというオプションを提示すればいいのではないか、と思っていた」。

カレコのロゴマークはクルマに貼ってもオシャレに。スタイリッシュにカーシェアを楽しみたい

カレコのロゴマークはクルマに貼ってもオシャレに。スタイリッシュにカーシェアを楽しみたい

「car」と「eco」で「careco(カレコ)」

 カレコという新しい概念とサービスの認知をアピールするために、イメージ戦略には徹底的にこだわった。「car」と「eco(ecology、economy)」を組み合わせたブランド、目的が明快なロゴマーク、そしてガソリン代、保険料、維持費は無料という分かりやすい料金体系。一見、似たような業態にあるレンタカーとの差はここにある。
「レンタカーは、使用時間の関係で『手軽さ』を感じることができなかった。カレコではそのハードルを下げて身近感、エコ感、オシャレ感を前面に出していこうと。だからロゴデザインも女性からの支持を意識した。クルマにロゴステッカーを貼る以上、カッコ悪いと言われてはダメ。クルマも『乗ってみたい』というものを用意する。予約は簡単で携帯電話からもできる」。
 気軽で簡単、スタイリッシュで環境に優しい。何より経済的にマイカー感覚で使える。都市生活者がもっていた潜在的なニーズを掘り起こしてサービス化した。

2009年1月のプレス試乗会では近い将来に導入される電気自動車も設置。コンセントを使って充電できる。

2009年1月のプレス試乗会では近い将来に導入される電気自動車も設置。コンセントを使って充電できる。

「持つのが当たり前」という概念から解放された

 世界的な不況による購買意欲の抑制や、特に若者のライフスタイルの変化によるクルマ離れ、また大気汚染をはじめとする環境問題への意識の高まりなど様々な理由が考えられるが、自動車の生産・販売を取り巻く環境は日を追うごとに厳しくなっている。しかし、それはカーシェアリングにとって悪いニュースではない。 「国内の新車販売は横ばいがずっと続き、2007年にガクッと落ちた。昨年5月には保有台数も減った。きっかけはガソリン高であり、マクロで見れば若者のクルマ離れであり、それに経済クラッシュが追い打ちをかけている。それに、先に話した通り、普通の生活をしていれば都心でマイカーは必要ない。カーシェアリングがあるからクルマの販売が落ちるのではなく、単純に今までの『クルマを持つのが当たり前』という概念から解放されたんだと思う」。
 偶然とはいえ、追い風が吹いている。
 今後は立地、マーケティングなどの分野で法人パートナーと提携し、短期大規模車両展開、会員獲得を目指す。具体的な数字として首都圏での事業展開でまずは2009年中に100台の設置、5年で1000台、会員2万人の獲得を掲げる。電気自動車のいち早い導入など、カーシェアリングならではの体験も待ち遠しい。 「思い描いているのは一つ。街のそこら中にコンビニエンスストアがあるように、見渡せばいくつものカーシェアリングのステーションが存在するような時代」。
 鈴木氏の眼前には、すでに数多くのカレコグリーンの看板が広がっている。


カーシェアリング・ジャパン株式会社
TEL 0120-292-105(9:00~18:00)
www.careco.jp

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