クリスマスが近づくこの時期は大きなビジネスチャンス。昨年のリーマン・ショックから1年を経て、投資銀行のゴールデン・ボーイの好決算が報道されNYダウ工業株が心理的な区切りである1万ドルを越え経済成長率もプラスに転じたが、クリスマスを迎える市民のマインドはどうか、金融危機の震源地アメリカでは今年はどのようなクリスマスを迎えるのだろうか。
text: 西村訓仁 構成: 羽田祥子(編集部)

西村訓仁(にしむら・くによし)
NY、パリに本拠のある多国籍銀行、国立銀行に勤務後、ドイツ銀行グループロンドン・欧州などで様々な金融に従事。現在、英国証券市場上場の金融市場分析会社「インフォーマ・グローバル・マーケット・ジャパン(株)」代表取締役。国際政経学修士

X'masに向けて日米消費者マインドは改善傾向

 米国のダウ工業株式価格が約1年ぶりに1万ドルを上回った。この水準が、今後の攻防線なのか、それともさらに上昇する通過点なのか、まだ見極めが必要だ。好決算を発表した投資銀行、ウォール・ストリートの盛り上がりに対して、普通の人々が暮らす街やハイ・ストリートなどショッピング街とはかなり景況感に差があるように思われる。サンクス・ギビング休暇の後に控えた今年のクリスマス商戦の動向に注目される。いろいろな分析視点もあろうが、株価の上下ではなく、消費者のマインドがどのくらい改善しているか、を計ることも必要だ。その上で、改善が回復を意味するのかも大切なポイントと思われる。米国の場合には、消費者マインドの変化を見るインデックスとして、コンファレンス・ボードの消費者信頼感指数とミシガン大学の消費者景況感指数(50を境としてマインドの高低を測定するデータ)が主要な指標として使われる。両指数ともに年初と比較して、9月にはそれぞれ、53.1、73.5と急速に改善を示したが、10月には再び低下と不安定だ。

 これは、ユーロ圏景況感指数やIFO独景況観指数も同じ傾向といっていい。消費増加を伴う米国住宅の販売件数も改善を示したが、11月には住宅減税措置が廃止の予定だ(2010年まで延期)。日本についても、消費者信頼感指数もしかりである。一方、企業の投資マインドを計る指数には鉱工業指数などがある。企業の設備投資の方針を決め、従業員のクリスマス・ボーナス等を考える企業行動の目安となるこの数値は、日本では約20年前の低い水準(85)に戻っている。この数値は、日本企業に対して、円高とデフレ下の素材価格値上がりのなかで、ある意味、欧米バブルに対応していた過剰設備の廃棄か新技術、新市場の開拓という厳しさを示唆するものである。同時に、日本政府に対しては、欧米バブル崩壊後、より強力に内需拡大、景気拡大、財源確保のために無駄や論理に合わない既得権益見直し、羽田ハブ空港構想など規制緩和、消費税を含めた税制改革の政策ミックス実行の必然性を要求していると思われる。

 さて、クリスマスといえばプレゼントである。ゴールドやプラチナなどのアクセサリーを贈るという方もいるかもしれない。この貴金属などの素材価格が先行きの経済不透明の強さとリスク志向の投機マネー増幅を背景にして上昇傾向にある。それは、昨今の世界の基軸通貨である米ドルの退潮が著しく、世界の多くの資産は米ドルとリンクしているため、ドル保有国の資産の目減りは大きな懸念である。ドルを売り、金やプラチナなどの貴金属の強い需要が価格を押し上げている。エコノミストの一部には、現在の財政ガヴァナンスを欠いた各国の財政・公的資金導入、政府による自国紙幣増刷、国債買入れは、いずれ国家財政を破綻させ、発展途上国で見られたようなハイパー・インフレーションを招くという、悲観的な見方も存在する。このような将来の不確実性と緩やかなドル安を反映しながら市場では1オンス1000ドルを超えて、クリスマスプレゼントとしての価値を高めているかもしれない。ゴールドの値上がりは、将来のインフレヘッジを考える投資家のみならず、各国中央銀行にはありがたいクリスマスプレゼントだ。なぜならば、中央銀行をはじめ商業銀行はその地下金庫などに大量の金を金地金や金貨の形でリザーブとして保有しているからだ。ドルの下落を食い止めるために今後、米国連邦銀行が金利を上げる可能性もあるがデフレ懸念も浮上している。外国為替市場では、金の産出国でもあり、いち早く出口戦略として金利を上げた南アフリカ(推定年間金可採埋蔵量6千トン)の通貨ランドやオーストラリアのドル(同3千トン)などロングポジション(買い持ち)にしている個人FX証拠金投資家も増えているようだ。あまりにも投機的な金、原油、穀物など商品市場の動きには、今後米国商品先物取引委員会(CFTC)の規制が入る可能性もある。

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