今回の鳩山由紀夫民主党政権誕生は、我が国にとって、民主、自民による二大政党政治への歴史的幕開けである。初めて政権与党の座につき、自民党とは違うところを見せようと意気軒昂な民主党が、彼らにとっては聖書に等しいそのマニフェストを遮二無二実行していくと何が起こるのか。また、二大政党政治の下で日本経済はどう変わっていくのか、政権交代が今後の金融市場へ与える影響を考えてみたい。
text: 西村訓仁 構成: 羽田祥子(編集部) 
photo: Getty Images/アフロ

西村訓仁(にしむら・くによし)
NY、パリに本拠のある多国籍銀行、国立銀行に勤務後、ドイツ銀行グループロンドン・欧州などで様々な金融に従事。現在、英国証券市場上場の金融市場分析会社「インフォーマ・グローバル・マーケット・ジャパン(株)」代表取締役。国際政経学修士

二大政党制の実験、既得権益の破壊

 今回の自民党から民主党への政権交代の意義は、従来の既得権益擁護の政治を見直す大きなチャンスであると共に、日本初の二大政党制がどう機能していくのかという実験でもある。欧米の市場関係者からは、日本の動向には関心があるものの、たとえ民主党新政権になったところで、日本の構造的問題の根は深く、政治も経済も生活も大して変わらないだろうという冷めた意見が聞かれる。
 日本市場への投資収益は海外投資家の期待を長年裏切り続けてきたし、民主党のマニュフェストはいまひとつ実現性に疑問があり、党自体のパワー構造が旧態依然ということになれば無理もない話である。加えて、日本発の一部の懐疑的な論調にも少なからず影響を受けているようである。

 欧米人から見れば、日本が54年に及ぶ(93年8月から10カ月間を除く)一党独裁制から二大政党制へと、何はともあれ移行できたことは民主主義国家としては喜ばしいことに違いない。だが、彼らは当然ながら二大政党制の問題点もよく知っている。
 鳩山新政権に対する国民の支持率は非常に高く、街頭インタビューなどからも、多くの日本人が新政権に対して実力以上に前向な期待を寄せていることが伺える。それは、長い間の自民党政権の呪縛から解かれた国民が、経済成長率から成長戦略を捉えるのでなく、子育て・医療・雇用といった国民生活福向上を通じた消費向上という視点から政策を進めようとする政党を欲しているからに他ならない。新政権が約束した政策の実行が、何よりも自分たちの仕事や生活、そして将来の子供たちの安全に直接かかわることだからだ。

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