アメリカ新政権がスタートした。世界中で揺らいだ通貨は今後どうなっていくのか。金融のプロフェッショナルに話を聞いた。
text:西村訓仁 構成:羽田祥子(編集部)
photo:アフロ

西村訓仁(にしむら・くによし)
米国ニューヨーク、フランス系国立銀行を経てドイツ銀行の東京、ロンドン、ベネルクス等、欧州拠点で様々な金融 に従事。現在、英国系上場金融市場情報・分析会社、インフォーマ・ブローバル・マーケット(株)代表取締役。早 稲田大学政経学部卒。

オバマ大統領就任の影響

 国際金融と実体経済危機の中で、アメリカ国民から82%の支持率を受けて、メシアン(救世主)オバマ新政権が、1月に誕生した。このオバマ政権の金融経済政策のミッションは、言うまでもなく単なる景気政策ではなく、米国の「破産」、ひいては「世界恐慌」を回避することである。それゆえに、9千億ドルの財政支出、7千億ドルの不良資産救済枠(TARPo既に3500億ドル資本注入)、ワシントンで議論されている、不良資産買取や民間セクターの資金を巻き込んだ官民ファンド「バッドバンク構想」など米国金融安定化策の実効性と即効性が試される。同政権の効果が米国実体経済にポジティブに出てくれば、米ドル買いに繋がる可能性が高い。

国際通貨市場の2つの特徴

 ここでは新政権誕生後の国際通貨の変動の特徴と要因を見ていこう。現在の国際通貨市場は大きく2つの特徴が観察される。 第1の特徴は、米国の金融危機や発表される雇用統計の悪化、経済収縮を示す経済指標にも関わらず、ドルが大きく売られず、その一方でユーロの下落していることだ。本来なら、ドルは既に通貨としての信任を失い、円やユーロが安全通貨と考えられる。しかし、実体は、ユーロが売られており、従って、ユーロにクロスして買われるドルや円が強くなっているのだ。  第2の特徴は、国際金融危機による連鎖的な信用収縮で、ドルの急激な下落の懸念材料を抱えながらも、下落に歯止めが掛っていることである。IMFの試算によれば、米国の対GDPの不良債権額の比率は、ほぼ40%で、日本のバブル破綻時の35%という比率を既に上回っている。

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