短期集中連載の第2回。ハードやソフトの変化により、隆盛期からの転換期を迎えようとしている日本のゲームビジネスの未来は?
text: 渡辺麻実

ネットワークゲームの魅力

 どこがすごいの? どこが面白いの? ゲームをやったことのない方は、心の中でそうつぶやいているかもしれない。
「ネットワークゲームあるいはオンラインゲームとは、インターネットの向こう側の何人かと一緒に、完全にリアルタイムでゲームのプレイヤーになって遊ぶ、というものです。自分があるキャラクターとなってゲームの中に入っていくと、他のユーザーも入ってきます。そして、力を合わせてモンスターをやっつけたりするのです。ゲーム内で、チャットでコミュニケーションを深めることもできます」(阿久津氏)

 ただ最近、ネットワークゲームの問題点が指摘されている。
「ゲームの世界にどっぷり浸かってしまって会社に行かない、学校にも行かない、食事もインスタントラーメンで済ませてプレイを続ける。そういう、ゲームにハマって日常生活を営めなくなった人たちがいて、『ネトゲ廃人』と呼ばれています。
 僕も、ネットワークに一度入るとなかなか抜けられない、そういう気持ちがわかることはわかるんです。ネットワークゲームが盛んになる前に、ネットワークの囲碁をやったことがあるんですよ。年配の方や時間のある方は別ですが、サラリーマンだとなかなか碁会所に行けません。そこで帰宅後にネットワークの中に入って、対戦相手を見つけるわけです。対局して終わった時に『もう1回やりましょう』と言われ、勝ち逃げするのも悪いな、と思い付き合う。すると、お互い止められなくて、延々と続いてしまうんです。それがネットワークの対戦ゲームの面白さなんですが、怖さでもありますね。
 要は、相手がいるから抜けられなくなってしまうのです。仲間が集まってチャットが盛り上がっていると、その輪からなかなか抜けられない人もいます。インターネットやモバイルの世界の中にコミュニケーションを求めるという、現代の問題を投影しているのかもしれません。
 一方で、遠方に住む人や、老若男女を問わず、通常なら知り合えない人と知り合えるのもネットワークの魅力です。ネットワーク囲碁で、顔も知らない若い人と対戦したことがありますが、子どもの頃に父親に教えてもらって以来でルールをよく覚えていないというので、私が教えてあげながら対局しました。相手の方は恐縮していましたが、ネットワークを通してその人の子ども時代や生き方まで伝わってくるようで、とても新鮮に感じたのを覚えています」(阿久津氏)

ゲームソフトの未来は?

 大ヒットシリーズの最新作でPS3向けの「ファイナルファンタジーⅩⅢ」(12月17日発売)を制作したスクウェア・エニックス・ホールディングス社長・和田洋一氏は、雑誌のインタビューに答えて、いずれ「実質的なプラットフォームは端末ではなくネットワークにな」ると思う、と述べている(週刊東洋経済8月29日号)。ゲーム機の未来はさておき、ゲームソフトのオンライン化、ネットワークサービス強化の流れは不可避のようだ。一ゲーマーとしては、ネットワークサービスのさらなる充実を楽しみにしたい。

阿久津幸宏氏:アニメディア編集長、劇場用アニメ『ビーストウォーズ』などのプロデューサーを経て、現在ゲームソフト企画開発会社・株式会社ガイア取締役プロデューサー。七会静名で近著「よくわかる『世界の死神』事典」(廣済堂あかつき刊)

株式会社ガイア
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