ただ最近、ネットワークゲームの問題点が指摘されている。
「ゲームの世界にどっぷり浸かってしまって会社に行かない、学校にも行かない、食事もインスタントラーメンで済ませてプレイを続ける。そういう、ゲームにハマって日常生活を営めなくなった人たちがいて、『ネトゲ廃人』と呼ばれています。
僕も、ネットワークに一度入るとなかなか抜けられない、そういう気持ちがわかることはわかるんです。ネットワークゲームが盛んになる前に、ネットワークの囲碁をやったことがあるんですよ。年配の方や時間のある方は別ですが、サラリーマンだとなかなか碁会所に行けません。そこで帰宅後にネットワークの中に入って、対戦相手を見つけるわけです。対局して終わった時に『もう1回やりましょう』と言われ、勝ち逃げするのも悪いな、と思い付き合う。すると、お互い止められなくて、延々と続いてしまうんです。それがネットワークの対戦ゲームの面白さなんですが、怖さでもありますね。
要は、相手がいるから抜けられなくなってしまうのです。仲間が集まってチャットが盛り上がっていると、その輪からなかなか抜けられない人もいます。インターネットやモバイルの世界の中にコミュニケーションを求めるという、現代の問題を投影しているのかもしれません。
一方で、遠方に住む人や、老若男女を問わず、通常なら知り合えない人と知り合えるのもネットワークの魅力です。ネットワーク囲碁で、顔も知らない若い人と対戦したことがありますが、子どもの頃に父親に教えてもらって以来でルールをよく覚えていないというので、私が教えてあげながら対局しました。相手の方は恐縮していましたが、ネットワークを通してその人の子ども時代や生き方まで伝わってくるようで、とても新鮮に感じたのを覚えています」(阿久津氏)