市場規模の変化がもたらすワールドワイド化
「ソニーとマイクロソフトは、高性能機路線を突っ走っています。ゲーム機がハイスペックになればなるほど、画質的なクオリティが求められます。そうするとソフト開発にお金がかかるようになる。それまでは何千万円で作っていたようなゲームソフトを作るのに、何億、何十億かかるのです。他方、ゲームソフトの販売価格はあまり変わっていません。したがって、数が出ないと利益が出なくなっています。何万本でよかったのが、何十万本あるいはそれ以上売る必要が出てきたわけです。
インベーダーゲーム、ゲームウオッチなどのLSIゲーム、ファミリーコンピュータ(ファミコン)、スーパーファミコン、ゲームボーイ、プレイステーション(PS)、PS2。かつて日本はゲームのトップランナーだった。だが、ライフスタイルの変化やハードの高スペック化やソフトの多様化など、日本のゲーム業界を取り巻く環境は、大きく変わってきている。アニメと同様、かつてのお家芸はこの変化をどう乗り切るのか。現状と未来を考察し、3回にわたってリポートする。第1回ではゲームソフト開発会社・ガイアの阿久津氏に話を聞いた。text: 渡辺麻実
photo: ロイター/アフロ
市場規模の変化がもたらすワールドワイド化
「ソニーとマイクロソフトは、高性能機路線を突っ走っています。ゲーム機がハイスペックになればなるほど、画質的なクオリティが求められます。そうするとソフト開発にお金がかかるようになる。それまでは何千万円で作っていたようなゲームソフトを作るのに、何億、何十億かかるのです。他方、ゲームソフトの販売価格はあまり変わっていません。したがって、数が出ないと利益が出なくなっています。何万本でよかったのが、何十万本あるいはそれ以上売る必要が出てきたわけです。
『それなら昔のゲームの名作をまた出せばいいじゃないか』と考える人もいるかもしれませんが、従来のクオリティのままではなかなか満足できません。ゲームというのはハードに依存するコンテンツです。クオリティを上げるには、プログラムの書き換えを含め一からやり直すことになり、開発費の節約にはなりません。映画やアニメでしたら、16ミリのフィルムで撮った映像をビデオに、DVDに、今度はハイビジョンにと、ある程度簡単に変換できます。確かに画質は以前のままですが、リマスターすればある程度クオリティを上げることはできる。ユーザー側の心理としても、ガンダムやスター・ウォーズのブルーレイが出たら、DVDを持っていてもたぶん買うでしょう。
そういうわけで、体力のあるパブリッシャーでないとハイスペック機のソフトを出せなくなってきています。また、何十万本となると、海外にも売らなければならない。海外ではマイクロソフトのXboxもありますが、ソニー、任天堂の日本製ゲーム機も、それを上回って売れています。今や、国内市場よりアメリカ、欧州の方が、ゲーム市場の規模として上です。そうなると、ソフトメーカーはワールドワイドで考えざるを得ない。 ただ、ゲームと言えども、その国の文化の一部です。日本のゲームは日本の文化に根ざして作られている。日本のヒット作を海外に持っていったら売れるという方程式には、必ずしもならないのです。日本で大ヒットしているドラクエも、海外で同じようには売れていません。逆に、アメリカでは日本製ゲーム機が入る前から、PCゲームがポピュラーでしたが、そうしたアメリカ人好みのソフトを日本人は『洋ゲー』と呼んで、感覚的に受け入れることができませんでした。日本と外国とではゲームの嗜好が違うんですね。日本のソフトメーカーは今、頑張って海外に好まれるゲームを作っているところなのです」