左官という仕事
左官とは、鏝(こて)を使って壁を作る仕事である。日本家屋の壁は、柱と柱の間に竹を編んだ下地を作り、その両面に土などを混ぜ合わせたものを塗る。素材の選び方、水の混ぜ方、塗り重ねる方法や回数などにより、壁の強度にも表情にも、左官の技術が出る。 今、日本で左官が行う仕事の99%は、メーカーが作った材料に水を入れ、練って塗るだけである。タイルやクロスを貼るため、あるいはペンキを塗るための下地であり、左官の仕事は内側に隠れてしまう。表に出る場合があっても、本当に薄いものでしかない。
昔の家屋は塗り重ねの工程を踏んで仕上げられていた。塗りは、水分が蒸発することによって初めて仕上がるため、壁を分厚くするほど塗り重ねる回数が増え、乾燥期間が必要となる。工期の短縮を求められる今の建築では、昔ながらの工法は難しく、左官の本来の仕事がなくなってきているのである。
「塗る厚みによって明らかに質感が違うね。薄いものは薄くしか見えないし、軽いものは軽くしか見えない。傷まないように何でも硬くなっている。崩れないほど硬いものって表情がないよね。だからすべてが表層的で、質感とか、中から溢れ出すものがほとんどない。昔の仕事と比べて全く別物ですね」。





















